編集者が電子書籍を読んでみた

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zoom RSS 編集者が電子書籍を読んでみた(2)

<<   作成日時 : 2012/07/29 19:24   >>

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 森孝俊は若いモデルを探していた。教え子の都代子が思い浮かんだ。頼んでみた。予想は外れた。都代子はその場で快諾した。
 かつて彫刻家は若い妻を失った。酒に溺れ、生活が乱れた。虚栄に突き動かされて、木を彫ることに没頭した。そうして生まれた裸婦像は、出世作となったが、死んだ妻の面影が残っているといわれる。その妻と今の都代子が同じ歳だということを、彫刻家は語ろうとは思わない。
 善良な妻は裸になるのを拒んだ。彫刻家は仕事の成功のために妻の着物を剥いだ。妻は泣いた。三十年が経っている。孝俊は富を得て再婚した。孫が五人いる。
 亡くなった妻がそうであったように、都代子は彫ってみたい女であった。孝俊は言うのを躊躇っていたが、声をかけてみると、都代子はあっさりと脱いだ。
 木の女を眺めながら、老いた彫刻家と若いモデルはコーヒーを飲んでいる。都代子が花林糖を手にとる。
 赤い爪に挟まれた菓子が垂直に立ち、彫刻家の目の中で、木の女の太腿に重なった。
(『花びらを描く女』妻吹 恋著)



要約による記述。


散りばめられている象徴。




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